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置き去りの郊外商業施設周辺
週末青山から表参道まで歩いて買い物をしました。毎年恒例のデザインイベントのせいか人通りが多く、歩いていて気持ちの良い秋の一日でした。次の日、郊外の大型店へ行くとこちらも大変な賑わい。ところが大きな違いは、モールや大型店内のヴァーチャル(仮想)都市的な施設内にほとんどの人が居て、周辺のリアル(現実)な通りを歩いている人は非常に少ないということです。
青山通り、表参道というリアルな通りは、人がたくさん歩くことによって注目され、通りそのものがますます魅力を増していくことでしょう。一方、郊外商業施設周辺のリアルな通りは閑散として、このまま置き去りにされていくのでしょうか?或いは、ヴァーチャルな都市の広がりで周辺のリアルな都市も注目される時が来るのでしょうか?対照的な二つの街を歩いて考えさせられました。
100年住宅 20年設備
新聞で大手設備メーカーの営業利益が大幅に伸びているという記事が掲載されていました。消費税変更前の駆け込み需要だけでなく、長期的にリフォーム需要が大きくなっているようです。
元来住宅と設備の寿命は異なります。現在、日本の住宅寿命は40年前後で、水廻り設備は20年程度。家を建て直す前に1回設備リフォームをする計算で、実際の感覚にも合っているようです。ちなみにアメリカの住宅寿命は100年程度。日本でもアメリカを見習って「100年住宅」が推奨されていますが、水廻りについては交換可能を前提としています。
水廻り設備は機械であり、その寿命は当然建築より短いです。つい5年前の電気製品が古くて使えないのと同じです。水廻りだけでなく、太陽光発電や床暖房も機械設備です。新製品開発のサイクルも短くなっていますので、経年による性能劣化とともに陳腐化するスピードはますます速まっていくことでしょう。
住宅に限らず建築設計では、建築と機械設備を切り離して設計することが肝要だと思います。
「地鎮」の設計
先日地鎮祭に設計者として参加した際に、神職さんご講話で「地鎮は古代ヨーロッパでも見られる考えですが、日本では土地神様だけでなくあらゆる神様をお迎えしている」とのお話がありました。思い出されたのは、古代ローマ帝国建設の背景思想であるゲニウス・ロキ(場所の守護霊)ですが、日本では土地神様以外の神様をもお迎えしているという神道の寛容さに感銘しました。
八百万(やおよろず)の神である自然と親しむ日本建築は、キリスト教建築の天上の神とつながる垂直性とは対照的に、水平な広がりで自然と一体となるのが特色です。現代建築の周囲にあるのは、もはや自然だけではなく複雑ですが、「土地の文脈を読み解いて、その土地ならではの提案をすること」が設計者としての「地鎮」であると考えています。
不合理な味わい
春日大社式年造替
新年あけましておめでとうございます。
初詣で春日大社に参拝した際、平成27から28年が60回目の式年造替(しきねんぞうたい:きまった年数ごとに造り替える)にあたり、屋根檜皮葺(ひわだぶき)材費の寄進を募っていました。日本の伝統建築保全の一助と思い、一口千円を奉納したところ一般の参拝客よりも本殿に近い場所に案内されて参拝することが出来て大変得した気分でした。
式年造替は伊勢神宮が有名ですが、近代では完全な新築は伊勢神宮のみで、他の神社の式年造替は大規模修繕だそうです。ちなみに伊勢神宮は今年第62回の式年造替にあたり、伊勢も春日も20年ごとの造替なので1200年以上の歴史があるということですね!
20年である理由は、次世代の大工への技術伝承にちょうど良い期間であるからとか、屋根材の檜皮葺寿命であるからと言われています。では、人間も長生きになりましたし、長寿命の屋根材を使えばもう少し長い期間おいて造替しても構わないということでしょうか??
朽ちながら何百年も生きながらえる石造、20年ごとに新築される木造。
式年造替は「エコ」では無いかもしれませんが、木造の宿命なのかもしれません。

