一級建築士事務所 エイチ・アーキテクツ

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屋根断熱

木造住宅 小屋裏2階(建設中)

 地球温暖化のためか、日本の夏はますます暑くなっているようです。夏場は工事も大変で、工事現場へ行くと、大工さんはじめ職人さんが汗だくで頑張って仕事をされています。

 添付の写真は、当事務所で設計させて頂いて建設中の住宅の屋根ですが、フラット35を申請されたため、2025年に義務化される省エネ基準を先取りして、従来よりも性能の高い断熱材が使用されました。熱抵抗値(熱の伝わりにくさ)で比べると、従来の2倍くらい断熱性能が良くなっているので、夏の炎天下の現場でも暑さの違いがはっきりとわかります!

 もちろん断熱材の値段も大きく違いますが、屋根と窓の断熱はとりわけ重要なので、投資価値があるのではないでしょうか??

ライトウェル Light Well

左写真:階段室3階 右写真:2階ダイニングから見る階段室

 ここ数年は施設設計に携わることが多かったのですが、最近は戸建て住宅の設計のご相談が多く、外資系トップライトメーカーで長年日本でも住宅向けトップライトを販売されている日本ベルックスさんが当事務所に来られました。「西宮の家」の設計については、前回ブログまでで一通りお話させて頂いたつもりでしたが、ベルックスさんのトップライトを階段室に設置していましたので、追加で取り上げさせて頂きます。

 都心部では一般に採光が難しく、トップライトは狭小地でも採光を確保する有効な手段です。トップライトは和製英語で、英語ではスカイライト(Skylight)ですが、トップライトを通してSky(空)を見る設置の方法と、Sky(空)は見えなくてもLight(光)を感じる方法に大別できると思います。Light(光)だけを感じる方がよりドラマチックな空間となることが多く、いわゆる「ライトウェル(Light Well 光の井戸)」が演出できます。

 冒頭写真のように、「西宮の家」では階段室3階屋根のトップライトから降り注ぐ光が2階ダイニングの大型ガラス越しに見えて、階段室がライトウェル(光の井戸)となる計画です。大きなトップライトから青いSky(空)を眺めるのも気持ちいいですが、光がどのように見えるかも考えて設計したいと思っています。

→「西宮の家」竣工写真

「西宮の家」の設計

建設中の「西宮の家」

 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。三角形の狭小敷地に設計させて頂いた3階建て住宅「西宮の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかを昨年からブログで15回に渡って書かせて頂きました。

第1回:2階建しか建てられない?…天空率で3階建が可能に
第2回:周囲と呼応する開口
第3回:コンクリート造ですか?…いえ、木造です
第4回:玄関…室内の第一印象
第5回:多目的な予備室
第6回:サニタリーの設計
第7回:オーダーメードバスとする6つの理由
第8回:階段は木製?鉄製?オープン?
第9回:キッチンはオーダーメード?
第10回:窓のメリット・デメリット
第11回:ビルトイン本棚
第12回:採光シミュレーション
第13回:門扉は不要?
第14回:バルコニーは屋上?
第15回:昼顔VS夜顔

 書き始めた時には15回にもなるとは思っていませんでしたが、書いていくうちにあれもこれも検討して協議させて頂いたと当時の記憶がよみがえりまして、想定よりも多い回数となりました。

 設計事務所で設計する場合は、メーカー商品の基本プランや規格のようなものが無く、まったく自由に設計できるので選択肢が多くあります。また、BIM(3次元CAD)で室内外の様子をウォークスルーで見ると、おそらくこれまで2次元の図面だけでは建てるまでわからなかったことも設計段階で明らかになるために検討対象となることがあります。

 私自身は20年以上設計業務に従事して、国内外で様々な経験をしておりますので、出来るだけ多くの可能性を示しながら、お施主様のご希望と建てられる敷地に合ったかたちを一緒に追求したいと思っております。

→「西宮の家」設計打合せでのBIM画像
→「西宮の家」竣工写真

昼顔 VS 夜顔

 

 「西宮の家」の設計 ⑮

 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。「西宮の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかをご紹介するシリーズの第15回です。

 建物の外観を検討する場合、基本的には昼間に建物がどのような見え方をするのかを検討します。住宅の場合は、公共建築のようにライトアップされたり、夜の利用が多い商業施設のように日が暮れてから見られることは少ないので、夜の建物姿の優先度は一般に低く、むしろ夜の窓を通して見える室内のプライバシーをどのように守るかの方が重視されることが多いです。特に狭小地では建物が敷地いっぱいに建っているため窓が道路に近く、1階の窓のカーテンは一日中閉めていることも多いのではないでしょうか?

 「西宮の家」の設計でも夜の建物の見え方についての打合せは特にありませんでしたが、2階の坪庭外側をまわる白い壁にあけられた大きな四角い穴は、夜の通りから見上げると、ぼんやり光が浮かんで行燈(あんどん)のように見えるかもねという話はしました。

 冒頭の写真は同じ位置から撮影した「西宮の家」の昼と夜の表情ですが、昼間に暗く後退して見える窓や開口は、昼になると明るく前へ出てくるので印象が異なります。実際に、道路に近い窓はカーテンやブラインドが下げられて、白い壁にあけられた大きな四角い穴は異質なものに見えるのかもしれません。

 格子の表構えが連なる古都の通りは、格子から漏れる柔らかい光が夜の通りを照らして美しく感じられることがあります。都心部では街灯に照らされて夜も明るい通りが多いですが、住宅でも夜の見え方について設計段階で検討した方が良いのかもしれません。

→ 西宮の家

バルコニーは屋上?

「西宮の家」の設計 ⑭

 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。「西宮の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかをご紹介するシリーズの第14回です。

 都心居住では狭小敷地に住宅を建てることが多く、家のまわりの採光や眺望は期待出来ないので、上方からの自然光や高い位置にあるバルコニーをうまく計画することが重要です。一般には「屋上バルコニー」のご要望が多いですが、屋上バルコニーの床は通常の屋根よりもコストがかかり、3階から屋上へのぼる階段も余分に必要です。また、屋上の手すり壁の立ち上りは高さ制限の対象になります。

 「西宮の家」は高さ制限の厳しい角地であったため、屋上ではなく2・3階のバルコニーを組み合わせてバルコニーの屋外空間を計画しました。冒頭写真上の3階バルコニーは主寝室の前にあり、はす向かいの公園の木々を眺められます。一方、リビングダイニング前にある三角形の小さな2階バルコニーは、3階バルコニーと吹抜けを通じて視覚的につながっているので、実際の大きさよりも広がりが感じられます。大きな屋上バルコニーよりも小さなバルコニーのつながりの方が豊かな屋外空間になるかもしれません。

→ 西宮の家

門扉は不要?

「西宮の家」の設計 ⑬

 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。「西宮の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかをご紹介するシリーズの第13回です。

 2023年は卯年ですが、「卯」の字は門扉が開いた形とされ、天門が開いて万物が繁茂することから五穀豊穣、家内安全を意味する縁起の良い文字だそうです。最近の住宅はコストダウンのためか、門扉や塀を簡略化したり省略することも多いようですが、門扉や塀を設ける理由としては以下が挙げられます。

1)防犯・防護
2)敷地境界を明確にする
3)建物と一体の外観デザイン

 敷地いっぱいに建物を建てた場合は建物まわりに土地がほとんど残らないので、門扉や塀をつくらない選択肢もありますが、冒頭写真の「西宮の家」では角地で車が追突する危険があることや、三角敷地の突端に塀で囲った小庭を計画すること、建物と塀を一体として大きく見せることなどが理由で門扉と塀を計画しました。門扉は玄関ドアと一緒に建物のエントランスを演出するので、既製品の門扉ではなく特注のアルミ門扉を塀上のアルミルーバーと共に製作しました。通常の門扉は玄関ドアへ至る前にありますが、「西宮の家」の玄関ドアは道路に直接面しているので、この門扉は通用門として機能しています。

→ 西宮の家

建設資材物価指数

 いろいろあった2022年でしたが、ここ数年来の材料費の高騰に加えて、サッシや外装・屋根材といった多くの加工製品も来年からの値上げが見込まれています。2024年10月には消費税を15%とする政府案も検討されているということで、建設費はますます上昇傾向にありますが、木材は昨年ウッドショックでの急騰とその後の高止まりからようやく下落傾向にあります。

 冒頭の表は毎月公表の建築資材物価指数の推移ですが、建物の軸組(骨組み)に使用する「杉正角(しょうかく=正方形断面の角材)」の価格は降下しています。「コンクリート型枠用合板」は主にロシアから輸入されていたので、戦争の影響で他の資材同様にしばらく下がらないと思いますが、木造の住宅や施設は建設をご検討されても良い時期かもしれません。

 来年はコロナ禍や戦争も終結して、平穏な年になることを祈念致します。良いお年をお迎え下さい!

採光シミュレーション

「西宮の家」の設計 ⑫

 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。「西宮の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかをご紹介するシリーズの第12回です。

 住宅の居室は一定以上の採光をすることが建築基準法で定められていますが、生活をして快適であるためには法令規定以上の採光が一般に望ましいです。また、法令ではその部屋にある窓の合計面積しか評価されませんが、実際には個々の窓の配置も重要で、隣の部屋から光が入ることもあります。良い採光であるかは平面図や立面図だけで判断するのは難しく、BIM(3次元CAD)で敷地の経度・緯度を入力した3次元モデルに想定される太陽光を入れて検証するのが有効で確実な方法だと思います。

 冒頭写真の右側に並んでいる画像は、「西宮の家」の2階LDKに三角形の中庭を通して太陽の光が入るか設計段階で検証した夏至の日の10時から12時にかけての様子です。奥のキッチンは少し暗いですが、ダイニングテーブル廻りには光が差し込んで、12時には隣の階段室上部のトップライトから光が入ることが確認できました。

 道路をはさんで向かい側の集合住宅からの視線をさえぎるために三角形の中庭の外側にも壁を設置していますが、この検証の結果、中庭の上部や壁中央の開口から太陽高度の高い夏でも中庭とダイニングには陽が差して明るいことがわかりました。また、階段上のトップライトはコストダウンで削除が検討されていましたが、ダイニングにも有効に光が入ることがわかったため残すことになりました。

 周囲の建物による反射や天候などの影響もありますので、採光の状況を正確に再現することは難しいですが、BIMを使用しておおよその採光をシミュレーションすることは可能です。

→ 西宮の家

ビルトイン本棚

「西宮の家」の設計 ⑪

 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。「西宮の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかをご紹介するシリーズの第11回です。

 最近は電子書籍の利用が増えて印刷した本は少なくなってきていますが、蔵書の多い方や電子書籍の利用が不向きな場合は、やはり本棚が必要かと思います。一般には家具として本棚を購入されることが多いですが、注文住宅では室内の壁と一体化した「ビルトイン(Built-in 造り付け)本棚」を計画することも珍しくありません。「ビルトイン本棚」のメリット・デメリットとしては以下が挙げられます。

 メリット
 1)インテリアと一体で計画できる
 2)空間を無駄なく使える
 3)地震で本棚が転倒しない

 デメリット
 1)コストがかかる
 2)位置の変更や撤去が難しい

 「西宮の家」では、蔵書が多く家でお仕事をされることもあるお施主様ご夫妻にリビング(冒頭写真上)と二つの書斎/仕事部屋(同写真下左右)の「ビルトイン本棚」を提案しました。リビングは窓下の壁をすべて「ビルトイン本棚」として、はす向かいの公園の木々を見ながら寝椅子に座って図書室のような雰囲気で本を読めるようになっています。書斎/仕事部屋は機能性を重視して、床から天井までの「ビルトイン本棚」を机と一体で製作しました。本棚の圧迫感が無いように白色で統一して、棚の高さは部分的に自由に設定できるようになっています。

→ 西宮の家

窓のメリット・デメリット

「西宮の家」の設計 ⑩

 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。「西宮の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかをご紹介するシリーズの第10回です。

 建築基準法では住宅の居室は採光・換気のために一定基準以上の窓が必要です。窓をどのくらいの大きさでどのように配置するかは重要な設計課題ですが、一般に窓のメリット・デメリットは以下となります。

 窓のメリット
 1)光を入れる
 2)空気を入れる
 3)外を見る/外へ出入りする
 4)インテリアや外観のアクセントとなる

 窓のデメリット
 1)熱の出入りが大きい
 2)雨風が侵入しやすい
 3)室内がのぞかれる
 4)ガラスが割れて壊れやすい

 木製の窓が多かった時代は、窓のデメリットの部分はあきらめて、メリットの部分をいかに生かすかが設計者の腕の見せ所でした。2000年頃までは、アルミサッシではデメリットの解消も十分ではなく見栄えも悪かったので、建築家が設計する住宅の窓は、窓を開けた時に屋外の戸袋に建具をすべて引き込んで、室内からは壁に大きな穴があいたように見える木製窓が典型例であったように思います。

 一般的な木製窓は経年でひずんで隙間風が入り、結露して動きも悪くなります。また、近年は地球温暖化や健康への関心から、室内の熱の70%以上が出入りする窓の性能が重視される傾向にあります。最近のアルミサッシは高性能でデザインも洗練されてきているので、特に高気密高断熱の仕様やZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)とする場合は上級アルミサッシが必須となっています。

 「西宮の家」は高気密高断熱でもZEHでもありませんでしたが、冒頭写真のリビングからはす向かいの公園の木々を望む横長窓は、既製品のアルミサッシを組み合わせて設計しました。木造住宅ですが、建物角に鉄骨柱を入れて、直角に折れ曲がる窓がなるべく連続して見えるようにしています。また、窓の上枠木口の厚みに収まるような小型ブラインドを設置して、ブラインドを下ろせば障子を通したような柔らかな光が入る気持ちの良い空間となっています。

→ 西宮の家