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ニューイングランドの家

 東京都美術館で開催されているアンドリュー・ワイエス展へ行きました。20世紀のアメリカを代表する画家ですが、日本でも長年人気が高いために多くの絵が日本に収蔵されていることに驚かされました。また、今回の展覧会は「境界」としての窓がテーマで、ニューイングランドの植民地時代の素朴な家々を描いた絵が多く展示されています。私自身もニューイングランドで学生生活を送った際に、素朴で憂いのある初期の植民地住宅(Early Colonial Style)に魅了されて、ニューイングランドの各地を車で見て回りました。

 冒頭画像の左側は展覧会で展示されている「乗船の一行(Boarding Party)」で、右側は当事務所で設計させて頂いた「香取の家」の外観とダイニングです。「香取の家」はお施主様から提示されたクラシカルな洋風住宅のイメージに基づいて設計を始めましたが、ワイエスの描いたニューイングランドの家とつながるものがあるかもしれません。

→「香取の家」竣工写真
→「香取の家」設計打合せでのCG画像

当事務所での住宅設計のあり方

 最近は夏の暑さが厳しく長期化しているため、建物のあり方も変わろうとしています。地球温暖化対策としての「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けて、2025年以降の新築住宅は確認申請時に省エネ基準適合が必須となりました。また、高い省エネ基準であるZEH(ゼッチ:ゼロエネルギー住宅)には補助金が支給されて推奨されていますが、さらに高い省エネ基準のGX ZEH(ジーエックス ゼッチ)が2027年以降はZEH標準となります。

 住宅の性能は「省エネ」以外にも「構造/耐震性」や「可変性」・「バリアフリー性」・「維持管理のしやすさ」等がありますが、近年は省エネ性能の重要性が特に高まっているので計画時によく検討することが必要です。また一方で、当事務所にこれまで設計依頼頂いたお施主様からは、特別な外観や特注の鉄骨階段など個性のある意匠、変形・狭小敷地等の厳しい立地条件への対応、ハウスメーカーでは高額物件対応となる注文住宅を限られた予算内で実現することを求められることが多くありました。

 当事務所の設計のあり方としては、ご希望の省エネ性能を前提に設計の特注内容をバランス良く最適なかたちでまとめることと考えています。また、設計打合せはBIM(ビム)と呼ばれるCADを使用しますので、PCの画面上で建物の3Dモデルの室内外を自由に視点移動しながら設計内容をご確認頂けます。打合せの方法はラップトップPCを持参しての出張でもオンラインでの画面共有でも可能です。どうぞお気軽にご相談下さい!

「小屋裏」のある家

小屋裏3階建て:2階建ての大きさで3階建て

 都市の狭小敷地で前面道路からの「道路斜線制限」と北側からの「北側斜線制限」のために2階建て以上の建物の大きさがとれない場合は、2階屋根の「小屋裏(こやうら)」を3階として3階建てとすることが出来る場合があります。「小屋裏」は建築の専門用語で、一般的な表現の「屋根裏」とほぼ同じ意味です。

 海外の住宅は急勾配の屋根が多いので映画やドラマでも屋根裏部屋が多く見られますが、日本で小屋裏の部屋を寝室として使用する場合は規定の採光・換気・排煙が法規で求められますので、屋根窓(ドーマー)や天窓(トップライト)が必要です。また、小屋裏は狭い空間となりがちなので、階段室などの吹抜をうまく視覚的につなげて広く感じられる工夫もあると良いと思います。

 当事務所で設計監理をさせて頂いた「南青山の家」は西側の接道長さが短い台形の敷地で、高度地区の北側は天空率が適用外の北側斜線、西側は道路斜線と台形斜辺(隣地境界)からの北側斜線の両方がかかるために建物のボリュームが確保しにくい状況でしたが、小屋裏3階とすることにより3階建ての住宅が実現できました。

「南青山の家」竣工写真
「南青山の家」打合せCG

 当事務所で設計監理させて頂いた小屋裏の他の事例としては「香取の家」が小屋裏2階となります。この場合に小屋裏としたのは法規対応でなく、お施主様がイメージされた急勾配屋根の海外住宅外観に近づけるためでしたが、結果として魅力的な2階の小屋裏空間になったと思います。

「香取の家」竣工写真
「香取の家」打合せCG

アーチ開口

 左の写真は当事務所で設計監理させて頂きました「香取の家」新築工事の竣工写真ですが、クラシカルなご趣味のお施主様でしたので「半円アーチ」のドアや開口を提案させて頂きました。起源となる西洋建築では、石造りの重い建物に構造上合理的な開口を設けるために、中世ロマネスクの「半円アーチ」やゴシックの「尖塔(せんとう)アーチ」が考案されました。構造的にはロープを垂らした懸垂(けんすい)曲線を上下ひっくり返した「カテナリーアーチ」が最も合理的で、スペインのガウディ建築でも採用されています。

 現代の柱と梁の構造ではアーチの構造検討は不要で、単純に形の好き嫌いで選べば良いのですが、インテリアの開口としては半円・円弧・楕円アーチが一般に好まれるようです。冒頭の事例では、小屋裏の斜め天井の下に無理のない形でなるべく高い開口となるように「半円アーチ」としました。アーチ開口は見た目もかわいらしく、存在が際立ってアクセントにもなるので、モダンなインテリアで採用してもよろしいかと思います。

エレガンスと可愛らしさ

 日本橋高島屋で開催されていた20世紀のスウェーデンの陶芸家・デザイナー STIG LINDBERG(スティグ・リンドベリ)展へ行きました。展覧会へ行くまで代表作以外は知らなかったのですが、素敵な作品ばかりで驚きました。多くの日本人が共感する北欧デザインの自然な素朴さに加えて、エレガントで可愛らしい魅力があり、スタッフとして働いていたリサ・ラーソンの有名な猫たちの原型も感じられました。

 冒頭の左側の写真は流れるような形(LFモデル 1953-54年)とシンプルな絵付け(ペンシル 1954年)が非常に良く合った美しいティーカップ&ソーサ―で、右側の写真はコミカルで可愛らしい置物(スプリングガレ/大きな馬 1958年)です。ろくろ成形と自由な形で用途も異なりますが、並べてみると不思議と同じ作者の作品であると感じられるのではないでしょうか⁇

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