一級建築士事務所 エイチ・アーキテクツ

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ZEH目標

ZEH/トライブリッド

画像引用:ニチコン株式会社

 猛暑や大雨などの世界規模での異常気象を考えると、CO2等の温室効果ガスの削減は急務です。日本のようにエネルギー自給率が低い国では、特に「省エネルギー」が求められます。

 建物の設計をする際に「省エネルギー」とするためには、日本古来の建物に見られるような「庇や通気・日照」を考慮した、いわゆる「パッシブ・デザイン」とすることを心掛けていますが、近年の猛暑は「パッシブ・デザイン」だけでは対応できない厳しさとなっています。

パッシブ・デザインの事例
BLOG:光と風
BLOG:採光シミュレーション

 従来の「パッシブ・デザイン」に加えて、屋根・壁・窓の断熱性能を高めた上で、太陽光発電での「創エネルギー」も加えた「ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」とすることが望ましいですが、補助金を差し引いても建設費が大きく上昇するために、当事務所では残念ながら見送られることが多いのが実情です。

 「創エネルギー」については、電気自動車の普及を背景に、冒頭図のように太陽光発電・蓄電池・電気自動車を一括で制御するシステム:トライブリッドが理想だと思います。太陽光発電から車への充電、車から家庭の電力/蓄電池への最適な電力供給(V2H/V2L)も可能なので、今後はトライブリッドが一般化するのではないでしょうか?

 現状では、ZEHやトライブリッドは、デザインよりも性能重視のお施主様がハウスメーカーや工務店で建てられることが多いですが、一般化すれば設計事務所でも提案・実現させて頂く機会が増えるのではと期待しております。

 特に、ZEH補助金は、登録工事会社・設計事務所しか申請出来ませんが、当事務所は登録設計事務所(ZEHプランナー)ですので、ZEHをご検討されている場合は是非お声掛け下さい。

 また、ZEHやトライブリッドでなくても、新築時は太陽光発電と最低限の蓄電池だけで、後から蓄電池を増設したり、車への充電器(V2Hスタンド)を追加する計画も可能ですので、お気軽にご相談頂ければと思います。

屋根断熱

木造住宅 小屋裏2階(建設中)

 地球温暖化のためか、日本の夏はますます暑くなっているようです。最近は室内でも熱中症になることが珍しくありません。夏場は工事も大変で、工事現場へ行くと、大工さんはじめ職人さんが汗だくで頑張って仕事をされています。

 添付の写真は、当事務所で設計させて頂いて建設中の住宅の屋根ですが、フラット35を申請されたため、2025年に義務化される省エネ基準を先取りして、従来よりも性能の高い断熱材が使用されました。熱抵抗値(熱の伝わりにくさ)で比べると、従来の2倍くらい断熱性能が良くなっているので、夏の炎天下の現場でも暑さの違いがはっきりとわかります!

 もちろん断熱材の値段も大きく違いますが、屋根と窓の断熱はとりわけ重要なので、投資価値があるのではないでしょうか??

ライトウェル Light Well

左写真:階段室3階 右写真:2階ダイニングから見る階段室

 ここ数年は施設設計に携わることが多かったのですが、最近は戸建て住宅の設計のご相談が多く、外資系トップライトメーカーで長年日本でも住宅向けトップライトを販売されている日本ベルックスさんが当事務所に来られました。「西宮の家」の設計については、前回ブログまでで一通りお話させて頂いたつもりでしたが、ベルックスさんのトップライトを階段室に設置していましたので、追加で取り上げさせて頂きます。

 都心部では一般に採光が難しく、トップライトは狭小地でも採光を確保する有効な手段です。トップライトは和製英語で、英語ではスカイライト(Skylight)ですが、トップライトを通してSky(空)を見る設置の方法と、Sky(空)は見えなくてもLight(光)を感じる方法に大別できると思います。Light(光)だけを感じる方がよりドラマチックな空間となることが多く、いわゆる「ライトウェル(Light Well 光の井戸)」が演出できます。

 冒頭写真のように、「西宮の家」では階段室3階屋根のトップライトから降り注ぐ光が2階ダイニングの大型ガラス越しに見えて、階段室がライトウェル(光の井戸)となる計画です。大きなトップライトから青いSky(空)を眺めるのも気持ちいいですが、光がどのように見えるかも考えて設計したいと思っています。

→「西宮の家」竣工写真

「西宮の家」の設計

建設中の「西宮の家」

 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。三角形の狭小敷地に設計させて頂いた3階建て住宅「西宮の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかを昨年からブログで15回に渡って書かせて頂きました。

第1回:2階建しか建てられない?…天空率で3階建が可能に
第2回:周囲と呼応する開口
第3回:コンクリート造ですか?…いえ、木造です
第4回:玄関…室内の第一印象
第5回:多目的な予備室
第6回:サニタリーの設計
第7回:オーダーメードバスとする6つの理由
第8回:階段は木製?鉄製?オープン?
第9回:キッチンはオーダーメード?
第10回:窓のメリット・デメリット
第11回:ビルトイン本棚
第12回:採光シミュレーション
第13回:門扉は不要?
第14回:バルコニーは屋上?
第15回:昼顔VS夜顔

 書き始めた時には15回にもなるとは思っていませんでしたが、書いていくうちにあれもこれも検討して協議させて頂いたと当時の記憶がよみがえりまして、想定よりも多い回数となりました。

 設計事務所で設計する場合は、メーカー商品の基本プランや規格のようなものが無く、まったく自由に設計できるので選択肢が多くあります。また、BIM(3次元CAD)で室内外の様子をウォークスルーで見ると、おそらくこれまで2次元の図面だけでは建てるまでわからなかったことも設計段階で明らかになるために検討対象となることがあります。

 私自身は20年以上設計業務に従事して、国内外で様々な経験をしておりますので、出来るだけ多くの可能性を示しながら、お施主様のご希望と建てられる敷地に合ったかたちを一緒に追求したいと思っております。

→「西宮の家」設計打合せでのBIM画像
→「西宮の家」竣工写真

昼顔 VS 夜顔

 

 「西宮の家」の設計 ⑮

 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。「西宮の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかをご紹介するシリーズの第15回です。

 建物の外観を検討する場合、基本的には昼間に建物がどのような見え方をするのかを検討します。住宅の場合は、公共建築のようにライトアップされたり、夜の利用が多い商業施設のように日が暮れてから見られることは少ないので、夜の建物姿の優先度は一般に低く、むしろ夜の窓を通して見える室内のプライバシーをどのように守るかの方が重視されることが多いです。特に狭小地では建物が敷地いっぱいに建っているため窓が道路に近く、1階の窓のカーテンは一日中閉めていることも多いのではないでしょうか?

 「西宮の家」の設計でも夜の建物の見え方についての打合せは特にありませんでしたが、2階の坪庭外側をまわる白い壁にあけられた大きな四角い穴は、夜の通りから見上げると、ぼんやり光が浮かんで行燈(あんどん)のように見えるかもねという話はしました。

 冒頭の写真は同じ位置から撮影した「西宮の家」の昼と夜の表情ですが、昼間に暗く後退して見える窓や開口は、昼になると明るく前へ出てくるので印象が異なります。実際に、道路に近い窓はカーテンやブラインドが下げられて、白い壁にあけられた大きな四角い穴は異質なものに見えるのかもしれません。

 格子の表構えが連なる古都の通りは、格子から漏れる柔らかい光が夜の通りを照らして美しく感じられることがあります。都心部では街灯に照らされて夜も明るい通りが多いですが、住宅でも夜の見え方について設計段階で検討した方が良いのかもしれません。

→ 西宮の家