一級建築士事務所 エイチ・アーキテクツ

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05月

ライトウェル Light Well

左写真:階段室3階 右写真:2階ダイニングから見る階段室

 ここ数年は施設設計に携わることが多かったのですが、最近は戸建て住宅の設計のご相談が多く、外資系トップライトメーカーで長年日本でも住宅向けトップライトを販売されている日本ベルックスさんが当事務所に来られました。「西宮の家」の設計については、前回ブログまでで一通りお話させて頂いたつもりでしたが、ベルックスさんのトップライトを階段室に設置していましたので、追加で取り上げさせて頂きます。

 都心部では一般に採光が難しく、トップライトは狭小地でも採光を確保する有効な手段です。トップライトは和製英語で、英語ではスカイライト(Skylight)ですが、トップライトを通してSky(空)を見る設置の方法と、Sky(空)は見えなくてもLight(光)を感じる方法に大別できると思います。Light(光)だけを感じる方がよりドラマチックな空間となることが多く、いわゆる「ライトウェル(Light Well 光の井戸)」が演出できます。

 冒頭写真のように、「西宮の家」では階段室3階屋根のトップライトから降り注ぐ光が2階ダイニングの大型ガラス越しに見えて、階段室がライトウェル(光の井戸)となる計画です。大きなトップライトから青いSky(空)を眺めるのも気持ちいいですが、光がどのように見えるかも考えて設計したいと思っています。

→「西宮の家」竣工写真

「西宮の家」の設計

建設中の「西宮の家」

 住宅を設計する際に、お施主様と一緒に様々な検討をします。三角形の狭小敷地に設計させて頂いた3階建て住宅「西宮の家」を題材に、実際にどのような提案をさせて頂いているかを昨年からブログで15回に渡って書かせて頂きました。

第1回:2階建しか建てられない?…天空率で3階建が可能に
第2回:周囲と呼応する開口
第3回:コンクリート造ですか?…いえ、木造です
第4回:玄関…室内の第一印象
第5回:多目的な予備室
第6回:サニタリーの設計
第7回:オーダーメードバスとする6つの理由
第8回:階段は木製?鉄製?オープン?
第9回:キッチンはオーダーメード?
第10回:窓のメリット・デメリット
第11回:ビルトイン本棚
第12回:採光シミュレーション
第13回:門扉は不要?
第14回:バルコニーは屋上?
第15回:昼顔VS夜顔

 書き始めた時には15回にもなるとは思っていませんでしたが、書いていくうちにあれもこれも検討して協議させて頂いたと当時の記憶がよみがえりまして、想定よりも多い回数となりました。

 設計事務所で設計する場合は、メーカー商品の基本プランや規格のようなものが無く、まったく自由に設計できるので選択肢が多くあります。また、BIM(3次元CAD)で室内外の様子をウォークスルーで見ると、おそらくこれまで2次元の図面だけでは建てるまでわからなかったことも設計段階で明らかになるために検討対象となることがあります。

 私自身は20年以上設計業務に従事して、国内外で様々な経験をしておりますので、出来るだけ多くの可能性を示しながら、お施主様のご希望と建てられる敷地に合ったかたちを一緒に追求したいと思っております。

→「西宮の家」設計打合せでのBIM画像
→「西宮の家」竣工写真