当事務所での住宅設計のあり方

 最近は夏の暑さが厳しく長期化しているため、建物のあり方も変わろうとしています。地球温暖化対策としての「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けて、2025年以降の新築住宅は確認申請時に省エネ基準適合が必須となりました。また、高い省エネ基準であるZEH(ゼッチ:ゼロエネルギー住宅)には補助金が支給されて推奨されていますが、さらに高い省エネ基準のGX ZEH(ジーエックス ゼッチ)が2027年以降はZEH標準となります。

 住宅の性能は「省エネ」以外にも「構造/耐震性」や「可変性」・「バリアフリー性」・「維持管理のしやすさ」等がありますが、近年は省エネ性能の重要性が特に高まっているので計画時によく検討することが必要です。また一方で、当事務所にこれまで設計依頼頂いたお施主様からは、特別な外観や特注の鉄骨階段など個性のある意匠、変形・狭小敷地等の厳しい立地条件への対応、ハウスメーカーでは高額物件対応となる注文住宅を限られた予算内で実現することを求められることが多くありました。

 当事務所の設計のあり方としては、ご希望の省エネ性能を前提に設計の特注内容をバランス良く最適なかたちでまとめることと考えています。また、設計打合せはBIM(ビム)と呼ばれるCADを使用しますので、PCの画面上で建物の3Dモデルの室内外を自由に視点移動しながら設計内容をご確認頂けます。打合せの方法はラップトップPCを持参しての出張でもオンラインでの画面共有でも可能です。どうぞお気軽にご相談下さい!

太陽光発電パネルの無い ZEH

出典:2025年の経済産業省と環境省のZEH補助金について(赤字は当事務所追記)

 ZEH(ゼッチ)とは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略語で、高断熱の住宅においてエネルギー効率の良い照明・冷暖房設備を導入した上で、使用したエネルギー以上の電力を主に太陽光発電パネルで作り出す「エネルギーの消費・生産差し引きゼロの住宅」です。

 イメージとしては、冒頭添付図のような「大きな太陽光発電パネルが乗った切妻(きりつま)屋根の家」だと思いますが、国の補助金 55万円/戸 (2025年)の支給対象となる住宅で、太陽光発電パネルの設置が不要な「ZEH oriented(ゼッチ・オリエンテッド)」が存在することはご存知でしょうか?

 都市部の狭小地に建設する住宅は、一般に密集地で屋根が小さく十分な太陽光発電が見込めないので、下記の条件を満たせば、太陽光発電パネル無しで「ZEH oriented」としての補助金申請が可能です。

①建設地が北側斜線制限の対象となる用途地域
②敷地面積が85㎡未満
③2階建て以上
④外皮基準が「ZEH強化外皮基準」
⑤基準一次エネルギー消費量から20%以上の
 一次エネルギー消費量削減
 (再生可能エネルギーを除く)
⑥登録ZEHビルダー又はプランナーが関与

 これまでは、④を満たす断熱材、⑤を満たす冷暖房機器の仕様を大幅に上げなければいけなかったので、補助金を大きく超える追加工事費が必要でしたが、法律の改正で、令和7年4月以降に着工するすべての住宅に従来より高い省エネ性能(住宅表示制度の断熱等性能等級4及び一次エネルギー消費量等級4以上)が求められるようになりましたので、ZEH補助金の支給を受けた上で、少し工事費を増額すれば「ZEH oriented」で求められている④⑤の条件も満たすことが難しくない状況になりました。より高断熱化・省エネ化することでの光熱費の削減を考慮すれば、高い初期投資ではないかもしれません。

 ⑥については、当事務所はZEHプランナー登録をしておりますので、補助金申請が可能です。都市部の狭小地で、環境や省エネに関心をお持ちでもハウスメーカーの分譲住宅にあるような「大きな太陽光発電パネルが乗った切妻屋根の家」ではない注文住宅をご希望の場合は、是非お声掛けください!

ZEH/トライブリッド

画像引用:ニチコン株式会社

 猛暑や大雨などの世界規模での異常気象を考えると、CO2等の温室効果ガスの削減は急務です。日本のようにエネルギー自給率が低い国では、特に「省エネルギー」が求められます。

 建物の設計をする際に「省エネルギー」とするためには、日本古来の建物に見られるような「庇や通気・日照」を考慮した、いわゆる「パッシブ・デザイン」とすることを心掛けていますが、近年の猛暑は「パッシブ・デザイン」だけでは対応できない厳しさとなっています。

パッシブ・デザインの事例
BLOG:光と風
BLOG:採光シミュレーション

 従来の「パッシブ・デザイン」に加えて、屋根・壁・窓の断熱性能を高めた上で、太陽光発電での「創エネルギー」も加えた「ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」とすることが望ましいですが、補助金を差し引いても建設費が大きく上昇するために、当事務所では残念ながら見送られることが多いのが実情です。

 「創エネルギー」については、電気自動車の普及を背景に、冒頭図のように太陽光発電・蓄電池・電気自動車を一括で制御するシステム:トライブリッドが理想だと思います。太陽光発電から車への充電、車から家庭の電力/蓄電池への最適な電力供給(V2H/V2L)も可能なので、今後はトライブリッドが一般化するのではないでしょうか?

 現状では、ZEHやトライブリッドは、デザインよりも性能重視のお施主様がハウスメーカーや工務店で建てられることが多いですが、一般化すれば性能以外に設計事務所ならではの特注内容も求められて、提案・実現させて頂く機会が増えるのではと期待しております。

 特に、ZEH補助金は、登録工事会社・設計事務所しか申請出来ませんが、当事務所は登録設計事務所(ZEHプランナー)ですので、ZEHをご検討されている場合は是非お声掛け下さい。

 また、ZEHやトライブリッドでなくても、新築時は太陽光発電と最低限の蓄電池のみとして、後から蓄電池を増設したり、車への充電器(V2Hスタンド)を追加する計画も可能ですので、お気軽にご相談頂ければと思います。